10月1日(月) 日立沖堤防
文:baomi
misfish-toy氏といつもどおりの興奮釣行。
前回の「ヒラメ見す見す逃げられ事件」のあとなので、気合は入るが海が心配。
濁りは?うねりは?久慈川の影響は?と気がかりなことだらけだが船が出るとなるとリアクションバイトで渡船券を買ってしまうのが釣り人魂、というか性でもある。
目の前の第5埠頭に係留されている船たちが、いつもより上下に揺れているのが気になるが、準備万端目指すは沖提。風はそんなに無いし、大丈夫じゃないのか?と脳みその奥深い部分だけで物事を考えてそそくさと船に乗り込んだ。
↑気合の1番
到着してすぐ、「やっぱり・・・」の状況に周囲の釣り人たちと溜息をもらす。
「にごりあるねぇ」
「うねりあるねぇ」
「だ~めかなぁ」
ロコ蛸釣り師の聞こえてくるファーストインプレッションはそんな困った感想ばかりだった。
蛸釣りも濁りが大敵と聞くが、そこはヒラメマゴチ狙いのこちらも同じ、今まで何度も濁りを言い訳にしてボウズ病を治療してきた事実を思い出す。
あらためてまだ辺りが暗い中海を見つめてみる。外洋のうねりは堤防上に波を被らせるほどだが内側に茶色い海水を吐き出すほどでは無いようだ。前回四平と来た時のアマゾンもしくは黄河の色に比べればクリアと言っていい。さらによーく目を凝らすと5センチ強のベイトがそこかしこにいる。そしてそれを追ってサバの大群が悠然と泳ぎまわり、時よりナブラを発生させている。
何をやっても釣れない、釣れる気がしない、魚自体がいないのでは?フグの噛み跡にも憧れる。そんな状況に比べたら十分十分、やる気が掻き立てられるのだ。
さっそくお約束の「今回の目玉ルアー」をお互い見せ合い、大爆笑してテンションを上げる。どう考えてもこのオッサン二人は陽気な釣り人だと思う。ちょっと変かもしれない。いつも周りに人はいない。平日だからか。
めいめいオリジナリティあふれるルアーで釣り開始。
今回はまず前回濁りで手も足も出なかった教訓を活かしスーパーアピールのルアーを投入する。
スピナー付のジグにさらにブレードを追加し、そしてなんとジグヘッドを一番下に装着する。羞恥心のかけらもないルアーである。前回五平氏がバス用のスピナーベイトでマゴチをかけたので、であるならば濁りの強い時にはこれくらい許されるでしょう。と、情熱的になってしまった昨夜に発明してしまった。一夜明けるとポッっと頬を赤らめてしまうが、ラインには結ぶ。気に入っているのだ。
どうもこのルアーは水流が良くない。ブレードをキレイに回すにはコツが必要で、おそらく海底ではいまいちな動きをしていそうだ。ロッドに伝わってくる振動も良くなったり悪くなったり。改善策要検討である。
昨夜の想いをさっさと諦めて、いつものルアーに切り替えた。完全無欠の“GattyoSpecial”である。
こちらもちょっといじってみた。前回の噛み跡事件があまりにも悔しかったので、トリプルフックのアシストをつけたのだ。泳ぎの妨げにならないようにワームのおなかの辺り、メインフックのすぐ後ろ約5㍉に設置している。プラモデルを眺める子供のようにそのルアーを下から眺めると魚のヒレのようでなんだか釣れる気がする。
これで、フッキング間違いなし。しかし、ネガカリも間違いなし。
もったいないので釣り場を慎重に選んでキャストしよう。
と、その時、少し離れたところでキャストしていたmisfish-toy氏がルアーがかじられたと言って戻ってきた。フグにかじられたのだろうと高をくくって覗き込むと、その噛み跡はまさしく希望の噛み跡だった。
「これおそらくヒラメだよ。」
私は自信を持って言う。もちろんフグではないし、この歯の並びはヒラメにそっくりだ。俄然希望がわいてくる。
その後さらに彼のルアーがズタズタにされて上がってきた。それは先ほどの希望の噛み跡とは全くちがう巨大なくちばしでかじられた悪魔の噛み跡だった。
「なんだこれ?」
「フグにしてはでかいね」
「アタリはあるけどフッキングしないんだよね」
希望と不安が入り混じる中、今度は私にアタリが来た。底でシェイキング気味にルアーを泳がせていた時だった。
なんだ?なんだ?と言いながら水面を見つめると奥でギラッと光る。「フッコ?カンパチ?おお あの色はカンパチ?」。その瞬間丸い純白のおなかがまぶしく光る。
なんてこった
「デ、デカフグだ」
初めてこんなにでかいフグを釣った。しかも色が美しい青物っぽいカラーリングなのがにくい。
先ほどの嘴の持ち主はこいつだったのだと合点がいったが、がっかりもした。
まずはアシストフックの効果は絶大だ。とちょっと嬉しく思う。
↑見慣れたフグと大きさがちがうのでびっくり
このフグ騒動でテンションは上がったような下がったような。よくわからない気持ちを抱えておのおの散った。たまに来るサバの群れに心惑わされジグを投げた瞬間もあるが、いやいやイカンとまたルアーを元に戻したり。この脆弱な精神がつれない理由なのだとよく理解しているが、「見えないヒラメよりナブラのサバ」となってしまう、そんな私は非常に人間くさい、と呆れてしまう。
このままフグで終わるのは前回のヒラメ事件の勢いを殺してしまう。何とかせねばと色々考え場所を選び攻め始めた。ここという場所でランガン開始。蛸釣り師や餌釣り師達の雰囲気を見ながら釣りを続ける。
少し時間が経ち、集中力のきれかかった時にアタリが来た。
こういう突如のアタリは非常に鮮明に覚えている。
引きはそんなに強くない。素直に上がってくる。「ソゲ?ちびマゴチ?」それにしても素直に上がってくる。
水面に出てきたのは非常に意外な彼だった。
「マトウダイ」。
なんで?船でしょ普通。
隣にいた蛸釣り師も珍しがってくれる。刺身がとてもうまいと羨ましがってもくれる。
そして普通はヒラメ釣りの外道だとも教えてくれる。
一見うまそうに見えないこの魚。口が伸び縮みして折りたたみできるようだ。
↑珍しいことも海釣りの楽しみ。
ヒラメ釣りの外道という言葉にさらに血圧を上げキャストの精度もヘタクソな私にしては調子がいい。
マトウダイポイントから10m移動したところでまたもやかすかなアタリ。遠投して着水してからまだ3回ぐらいしかリールを巻いていないところでのアタリは非常にかすかでさりげなかった。びっくりアワセをせずにさらに誘う。ゆ~っくりうまそうに、ブレードが回るギリギリの速度で。
コツンと来た。ラインが張る。同時にしっかりとアワセをする。さらに全身でアワセを追加。
戦闘開始だ。
まず最初は素直にリールが巻かせてもらえた。ノソーとした感じでまたマトウダイ?なんて思いも頭をよぎった。しかし5m移動すると彼は本気で戦い始め、驚きと同時に嬉しさがこみ上げてきたが、この時正直言うとその重さに戦慄が走った。
「おおおおお重い!」
相手の力をいなしながらここと言う時に巻く。しかしリールのハンドルが三角形にしか巻けない。
これはヤバイ!
正直言って経験したことの無いものだ。ふとトラウトロッドで70オーバーの鱒を掛けたときを思い出した。あれは芦ノ湖だった。でもそれ以上。
この辺がど素人の私のこと。ドラグの調整なんてアドレナリンだらけの脳みそには思いつかなかった。以前ソーダガツオの時に一本釣りのように引き抜いたのでかなりにキツキツにしめたまま。これを後ほど悔やむことになる。
ドラグにはまったく気づかなかったが魚の向きと竿の方向には私にしては気を配ったほうだった。
残り15mでまたもやかなりのやり取りが発生し、ここまで来ると祈るような気持ちになっていた。
水中にシルエットが見えた。距離感がわからない。ヒラメか?なんだ?
やっとのことで水面に姿が現れた。
その姿を見て鮫だと思い込んだ。
「デ、デカすぎる」
どうしよう。デカイ鮫だ。
しかしよく見るとそれは驚くべきことにマゴチだった。
バカデカいマゴチだ。今までに見たことの無いデカマゴチだ。
急いで30m離れたところの蛸釣りの方に援助をたのむ。
「すみませーん!タモ!網お願いします!!」
こっちを見て微笑んでくれた。大丈夫だろう。
もう一度マゴチを観察する。上あごにメインのフックが刺さり、横にトリプルフックが刺さっている。これなら大丈夫だ。しっかり釣ってやる。
しかしデカイ。 私には身分不相応だ。
もう一度援助を依頼した蛸釣り師の方に目を向ける。気配を察したのだろうか、こっちを見てまた微笑んでいる。
「????????!!」
通じていない。
私は人とのコミュニケーションに淡白だ。苦手といえる。この性格をうらむ。
もう自分でやろうと決心してしまった。お願いをして、もしランディングに失敗したらその人に悪いじゃないか、なんてお人よしな気持ちも頭をもたげる。
どちらにせよ助けは諦めた。
巨大マゴチもだいぶ疲れてきたようだ。全盛期よりも暴れる時間が短くなってきた。しっかり弱らせて臨むタイミングにも達してきたようだ。
網を用意する。片手になった。悪いタイミングで魚が暴れ出した。ロッドを持つ左手に渾身の力が入る。すごい重みが突然かかった。
と同時にロッドが真っ二つに折れてしまった。ラインがゆるむ。岸壁に触れた瞬間にテンションが無くなった。
しっかりとロッドに力を入れた時に波のいたずらで魚が宙に浮いてしまったのだろう。
自分の不甲斐なさに溜息をつく。
2週連続でへたり込んだ。
しかし気がつくと足が少し震えている。恐怖ではなく純粋な興奮に体が反応している。折れてしまい出費のかさむ竿を眺めてみたが、どこか清清しい。
勝手な理屈だが、食べてやることができずに口にフックをつけたマゴチに申し訳ないと思う。
その後一気に波が大きくなり、外洋から茶色の濁り水が流入し始めた。
前回のバラシ、今回のバラシ、少しだけ魚への距離は縮まった気がする。漸進だが。
↑折れた際にガイドも曲げられた模様
↑マトウダイを刺身でいただく。
↑これはうまい。うまい刺身だ。記録更新!
◆番外編
↓恐怖のスーパーアピールルアー通称「こいのぼり」
水流のバランスを検討中。そしてさらにアピール度を増す予定
↓一晩あけて翌日。悔しさがこみ上げてきた。
ダンボールでマゴチを作って離れて眺めて大きさの検証。
baomi 「これより絶対でかかったよ。下手したらあと10cm」
misfish-toy「これだよ。誰も見て無いもん。証拠無いもん」
baomi 「本当だって嘘つかないよ。蛸釣りの人が見てたよ」
今どきの小学生のほうが高等な会話していると思う。
これからも楽しく釣りして行こうと思う。
文:baomi
misfish-toy氏といつもどおりの興奮釣行。
前回の「ヒラメ見す見す逃げられ事件」のあとなので、気合は入るが海が心配。
濁りは?うねりは?久慈川の影響は?と気がかりなことだらけだが船が出るとなるとリアクションバイトで渡船券を買ってしまうのが釣り人魂、というか性でもある。
目の前の第5埠頭に係留されている船たちが、いつもより上下に揺れているのが気になるが、準備万端目指すは沖提。風はそんなに無いし、大丈夫じゃないのか?と脳みその奥深い部分だけで物事を考えてそそくさと船に乗り込んだ。
↑気合の1番
到着してすぐ、「やっぱり・・・」の状況に周囲の釣り人たちと溜息をもらす。
「にごりあるねぇ」
「うねりあるねぇ」
「だ~めかなぁ」
ロコ蛸釣り師の聞こえてくるファーストインプレッションはそんな困った感想ばかりだった。
蛸釣りも濁りが大敵と聞くが、そこはヒラメマゴチ狙いのこちらも同じ、今まで何度も濁りを言い訳にしてボウズ病を治療してきた事実を思い出す。
あらためてまだ辺りが暗い中海を見つめてみる。外洋のうねりは堤防上に波を被らせるほどだが内側に茶色い海水を吐き出すほどでは無いようだ。前回四平と来た時のアマゾンもしくは黄河の色に比べればクリアと言っていい。さらによーく目を凝らすと5センチ強のベイトがそこかしこにいる。そしてそれを追ってサバの大群が悠然と泳ぎまわり、時よりナブラを発生させている。
何をやっても釣れない、釣れる気がしない、魚自体がいないのでは?フグの噛み跡にも憧れる。そんな状況に比べたら十分十分、やる気が掻き立てられるのだ。
さっそくお約束の「今回の目玉ルアー」をお互い見せ合い、大爆笑してテンションを上げる。どう考えてもこのオッサン二人は陽気な釣り人だと思う。ちょっと変かもしれない。いつも周りに人はいない。平日だからか。
めいめいオリジナリティあふれるルアーで釣り開始。
今回はまず前回濁りで手も足も出なかった教訓を活かしスーパーアピールのルアーを投入する。
スピナー付のジグにさらにブレードを追加し、そしてなんとジグヘッドを一番下に装着する。羞恥心のかけらもないルアーである。前回五平氏がバス用のスピナーベイトでマゴチをかけたので、であるならば濁りの強い時にはこれくらい許されるでしょう。と、情熱的になってしまった昨夜に発明してしまった。一夜明けるとポッっと頬を赤らめてしまうが、ラインには結ぶ。気に入っているのだ。
どうもこのルアーは水流が良くない。ブレードをキレイに回すにはコツが必要で、おそらく海底ではいまいちな動きをしていそうだ。ロッドに伝わってくる振動も良くなったり悪くなったり。改善策要検討である。
昨夜の想いをさっさと諦めて、いつものルアーに切り替えた。完全無欠の“GattyoSpecial”である。
こちらもちょっといじってみた。前回の噛み跡事件があまりにも悔しかったので、トリプルフックのアシストをつけたのだ。泳ぎの妨げにならないようにワームのおなかの辺り、メインフックのすぐ後ろ約5㍉に設置している。プラモデルを眺める子供のようにそのルアーを下から眺めると魚のヒレのようでなんだか釣れる気がする。
これで、フッキング間違いなし。しかし、ネガカリも間違いなし。
もったいないので釣り場を慎重に選んでキャストしよう。
と、その時、少し離れたところでキャストしていたmisfish-toy氏がルアーがかじられたと言って戻ってきた。フグにかじられたのだろうと高をくくって覗き込むと、その噛み跡はまさしく希望の噛み跡だった。
「これおそらくヒラメだよ。」
私は自信を持って言う。もちろんフグではないし、この歯の並びはヒラメにそっくりだ。俄然希望がわいてくる。
その後さらに彼のルアーがズタズタにされて上がってきた。それは先ほどの希望の噛み跡とは全くちがう巨大なくちばしでかじられた悪魔の噛み跡だった。
「なんだこれ?」
「フグにしてはでかいね」
「アタリはあるけどフッキングしないんだよね」
希望と不安が入り混じる中、今度は私にアタリが来た。底でシェイキング気味にルアーを泳がせていた時だった。
なんだ?なんだ?と言いながら水面を見つめると奥でギラッと光る。「フッコ?カンパチ?おお あの色はカンパチ?」。その瞬間丸い純白のおなかがまぶしく光る。
なんてこった
「デ、デカフグだ」
初めてこんなにでかいフグを釣った。しかも色が美しい青物っぽいカラーリングなのがにくい。
先ほどの嘴の持ち主はこいつだったのだと合点がいったが、がっかりもした。
まずはアシストフックの効果は絶大だ。とちょっと嬉しく思う。
↑見慣れたフグと大きさがちがうのでびっくり
このフグ騒動でテンションは上がったような下がったような。よくわからない気持ちを抱えておのおの散った。たまに来るサバの群れに心惑わされジグを投げた瞬間もあるが、いやいやイカンとまたルアーを元に戻したり。この脆弱な精神がつれない理由なのだとよく理解しているが、「見えないヒラメよりナブラのサバ」となってしまう、そんな私は非常に人間くさい、と呆れてしまう。
このままフグで終わるのは前回のヒラメ事件の勢いを殺してしまう。何とかせねばと色々考え場所を選び攻め始めた。ここという場所でランガン開始。蛸釣り師や餌釣り師達の雰囲気を見ながら釣りを続ける。
少し時間が経ち、集中力のきれかかった時にアタリが来た。
こういう突如のアタリは非常に鮮明に覚えている。
引きはそんなに強くない。素直に上がってくる。「ソゲ?ちびマゴチ?」それにしても素直に上がってくる。
水面に出てきたのは非常に意外な彼だった。
「マトウダイ」。
なんで?船でしょ普通。
隣にいた蛸釣り師も珍しがってくれる。刺身がとてもうまいと羨ましがってもくれる。
そして普通はヒラメ釣りの外道だとも教えてくれる。
一見うまそうに見えないこの魚。口が伸び縮みして折りたたみできるようだ。
↑珍しいことも海釣りの楽しみ。
ヒラメ釣りの外道という言葉にさらに血圧を上げキャストの精度もヘタクソな私にしては調子がいい。
マトウダイポイントから10m移動したところでまたもやかすかなアタリ。遠投して着水してからまだ3回ぐらいしかリールを巻いていないところでのアタリは非常にかすかでさりげなかった。びっくりアワセをせずにさらに誘う。ゆ~っくりうまそうに、ブレードが回るギリギリの速度で。
コツンと来た。ラインが張る。同時にしっかりとアワセをする。さらに全身でアワセを追加。
戦闘開始だ。
まず最初は素直にリールが巻かせてもらえた。ノソーとした感じでまたマトウダイ?なんて思いも頭をよぎった。しかし5m移動すると彼は本気で戦い始め、驚きと同時に嬉しさがこみ上げてきたが、この時正直言うとその重さに戦慄が走った。
「おおおおお重い!」
相手の力をいなしながらここと言う時に巻く。しかしリールのハンドルが三角形にしか巻けない。
これはヤバイ!
正直言って経験したことの無いものだ。ふとトラウトロッドで70オーバーの鱒を掛けたときを思い出した。あれは芦ノ湖だった。でもそれ以上。
この辺がど素人の私のこと。ドラグの調整なんてアドレナリンだらけの脳みそには思いつかなかった。以前ソーダガツオの時に一本釣りのように引き抜いたのでかなりにキツキツにしめたまま。これを後ほど悔やむことになる。
ドラグにはまったく気づかなかったが魚の向きと竿の方向には私にしては気を配ったほうだった。
残り15mでまたもやかなりのやり取りが発生し、ここまで来ると祈るような気持ちになっていた。
水中にシルエットが見えた。距離感がわからない。ヒラメか?なんだ?
やっとのことで水面に姿が現れた。
その姿を見て鮫だと思い込んだ。
「デ、デカすぎる」
どうしよう。デカイ鮫だ。
しかしよく見るとそれは驚くべきことにマゴチだった。
バカデカいマゴチだ。今までに見たことの無いデカマゴチだ。
急いで30m離れたところの蛸釣りの方に援助をたのむ。
「すみませーん!タモ!網お願いします!!」
こっちを見て微笑んでくれた。大丈夫だろう。
もう一度マゴチを観察する。上あごにメインのフックが刺さり、横にトリプルフックが刺さっている。これなら大丈夫だ。しっかり釣ってやる。
しかしデカイ。 私には身分不相応だ。
もう一度援助を依頼した蛸釣り師の方に目を向ける。気配を察したのだろうか、こっちを見てまた微笑んでいる。
「????????!!」
通じていない。
私は人とのコミュニケーションに淡白だ。苦手といえる。この性格をうらむ。
もう自分でやろうと決心してしまった。お願いをして、もしランディングに失敗したらその人に悪いじゃないか、なんてお人よしな気持ちも頭をもたげる。
どちらにせよ助けは諦めた。
巨大マゴチもだいぶ疲れてきたようだ。全盛期よりも暴れる時間が短くなってきた。しっかり弱らせて臨むタイミングにも達してきたようだ。
網を用意する。片手になった。悪いタイミングで魚が暴れ出した。ロッドを持つ左手に渾身の力が入る。すごい重みが突然かかった。
と同時にロッドが真っ二つに折れてしまった。ラインがゆるむ。岸壁に触れた瞬間にテンションが無くなった。
しっかりとロッドに力を入れた時に波のいたずらで魚が宙に浮いてしまったのだろう。
自分の不甲斐なさに溜息をつく。
2週連続でへたり込んだ。
しかし気がつくと足が少し震えている。恐怖ではなく純粋な興奮に体が反応している。折れてしまい出費のかさむ竿を眺めてみたが、どこか清清しい。
勝手な理屈だが、食べてやることができずに口にフックをつけたマゴチに申し訳ないと思う。
その後一気に波が大きくなり、外洋から茶色の濁り水が流入し始めた。
前回のバラシ、今回のバラシ、少しだけ魚への距離は縮まった気がする。漸進だが。
↑折れた際にガイドも曲げられた模様
↑マトウダイを刺身でいただく。
↑これはうまい。うまい刺身だ。記録更新!
◆番外編
↓恐怖のスーパーアピールルアー通称「こいのぼり」
水流のバランスを検討中。そしてさらにアピール度を増す予定
↓一晩あけて翌日。悔しさがこみ上げてきた。
ダンボールでマゴチを作って離れて眺めて大きさの検証。
baomi 「これより絶対でかかったよ。下手したらあと10cm」
misfish-toy「これだよ。誰も見て無いもん。証拠無いもん」
baomi 「本当だって嘘つかないよ。蛸釣りの人が見てたよ」
今どきの小学生のほうが高等な会話していると思う。
これからも楽しく釣りして行こうと思う。
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by team-gyoshin
| 2007-10-03 03:24
| 海