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チーム魚紳の壮絶釣行記。釣って釣ってつりまくれ!!自然を愛し、魚を溺愛。我らサカナのストーカー。こっちを向いてくれなくても、その背びれに向かってキャスティング!


by team-gyoshin

沈黙は破られた  【misfish-toy baomi 五平】

夏が過ぎようしている。
今年の夏は冗談のように暑く、そう簡単には破られまいと思われていた山形の最高気温記録を埼玉や岐阜で抜いてしまうなど、まさしく記録的猛暑だった。確か山形の記録はフェーン現象によるものだったのではないか、詳しいことは知らないがフェーン現象で一時的な記録であればまだ納得のしようもあるが、今回の記録はある種実力で獲得してしまった数値。本当に大丈夫なの?と考えてしまう。

行きつけの日立港も、どうも水温が平年より高い様子。真夏は大体22℃以下のはずなのに、今年は稀に25℃まで上がっている。我々のボウズ地獄はこのせいだと非常に都合よく責任転嫁して、今回はさらに水中の涼を求めていつもより北の港を目指した。

渡し舟に乗るのであれば「どうしても1番船」と思ってしまい4時には港に着くのだが、今回は普通に堤防からの釣り。そうなるとすぐに怠惰な性格が顔を出し、前日の夜misfish-toy氏と約束した待ち合わせ時間は現地に朝の6時。家を出発する時はまだ暗かったが、どんどん東の空は白み始め、日ごろは見ることのできない美しい色の空が刻々と変化し色あせていく。
毎度毎度のことなのだけど、このとき始めて「ああ、今が一番釣れるのかも、もっと早く出発すればよかった。早く釣り場に行かねば!」とその場ではどうしようもない阿呆なことを切実に本気で思い始める。
日ごろは使わない高速道路がその思いに拍車をかけ、理性と本能との天秤仕掛けに揺られながら始めての港に到着したのはAM5:30。「なんだ、意外と近いジャン」とうそぶきながら早速釣り人観察を開始した。

沈黙は破られた  【misfish-toy baomi 五平】_d0078105_1417769.jpg


見るからにロコ釣り師らしき人々が30人ぐらい、年配の方々だけでなく結構小・中学生のちびっ子アングラーも多い、それに気合の入っているルアーマンが5,6人。それぞれが浮きサビキとジグで青物を狙っている。ショゴか?ワカシか?サバか?しかし、あまりつれている様子は無い。
私は相変わらずのヒラメ狙いでワームを投げ始めた。堤防の外側がサーフになっており、内側は河口、ヒラメを狙うには理想的なのでは?と素人目にも見える。つり始めてすぐに目の前で青物らしきナブラがそこかしこ。
ガマンガマン
ここで揺らいではいけぬ。
ナブラは起こるが釣り人の竿はしならない。この前の日立港と一緒だ。
周りで釣れなければ我慢は簡単。己の信念は邪魔されることなくヌクヌクと竿を振らせてくれる。

し、しかし、しかしながら、沈黙は破られた。
となりオヤジがサビキでなんかすんごい突っ走る魚と格闘し始めた。オヤジはなんだか困惑気味にリールをジーコと巻いては立ち往生。おいおいそんなに走らせてはとなりの人に迷惑かけちゃうのでは、と見ているこっちがハラハラドキドキ。何が釣れたんだ??
困ったオヤジさんは勢いよく魚を引っこ抜いた。竿のしなりから見て引っこ抜くにはそろそろ限界の大きさなのでは?という状況を無視して「エイヤッ」と堤防の上に投げ出された魚体は40センチ弱のソーダガツオ!強力携帯電話バイブレーションのごとくバタバタビチビチやっている。

「ソーダかぁ」

いいなぁ ソーダかぁ 

釣ったこと無いなぁ ソーダガツオ 

・・・ 信念は砕かれた。

早速ジグを投げてるルアーマンに近寄り状況を確認。
ジグは5g以下の極小である。タックルもそれに対応してかなり、ライトなもの。
やばい。
私の持ち物にそんなライトなモノはない。性格的にゴツイモノばかりである。
無理かぁ。無理かぁ。試しに10gのジグ投げてみよう。
30分ほど頑張ってみた。
無心で投げ続けた。
隣のサビキオヤジさん軍団はうまい人で15分に一回のペースでソーダを上げ始めている。
ナブラもいい調子で起こっている。
しかし私のジグは稀に追ってくるがしかし極稀。さっきの5gルアーマンもそれから釣れている様子も無い。

これは危険だ。いつものボウズ路線にまっしぐらだ。

どうしても釣りたいのだソーダを。。。

10分後。
国道沿いの釣り道具屋まで往復しサビキとオキアミを持って戻ってきた私がいた。

ルアーマンです!と言い切っているようなフローティングベストを着たままサビキを投げている私は非常に格好悪いことに気づきまずは餌釣り師の格好に模様替え。おお今日の私は冴えている。褒めるところの無い私のくだらない“気づき”に感動し釣りを始めた。

・・・

ナブラがなくなっている。
だれも釣れていなくなっている。

逃したか・・・

と落胆し始めたところに、遅れて到着したmisfish-toy氏と五平氏が登場。
とりあえず状況はかわらないがテンションは急上昇した。

状況を説明し、楽しく新着ルアーの見せ合いをし、いつもどおりおバカまるだしハイテンション小僧になってから、再度実釣開始。

周囲の状況は打開されぬままだが、魚の気配は変わらずある。サビキのタナを変えて深みを攻めつつウキを睨む。
Misfish-toy氏はまだ砕けていない信念でヒラメ狙いでラン&ガン開始。五平はというと・・・
「ねずみを持ってきました」と言いつつ伝家の宝刀をラインに結びつけている。

おおお!バニー投げんのか? 君は。

確かに青物相手にバニーは正しすぎるほど正しいのだが、なんだか今回は初めての湊でAWAYな気分。この人たち毎日ここに来ているんだろうなぁ、という人たちは誰もバニーを投げずに静かにウキを眺めている。これで釣れなかったら俺たち浮くんじゃないのか?
そんな汚らしい大人、垢で埋もれてしまって容積が小さくなってしまった感性の大人である私の勇気の無さをひとっ飛びに飛び越えて、五平は勇敢にバニーを投げ始めた。

シュバーッ と投げて ボチャン。 一呼吸おいて バシャバシャバシャと重戦車が水面をこちらに突進してくる。
日頃自分でやっていることだが、人がやっているのを見てもやはりどこか滑稽だ。

相変わらず周りの釣り師も変化が無い。ナブラもごく稀にしか起こらない。
だめかなぁ
バニーも駄目だろうな。
残念だなぁ。

完全に空気が膠着したなか、五平の声が響いた。堤防全員の視線を感じる。
「な、なんか、ツレタァ。」
「ああああああああ あ゛~ ぁ」

なんかではない。カツオが来たのだ。
慌ててタモをもって駆けつけ弾丸のような獲物をすくう。

堤防の遠くまで出張していたmisfish-toy氏も戻ってきた。

凄いぞ五平! バニー使いだ君は。
実はこれが五平氏にとって初めての海ルアー獲物である。
感動もひとしおだろう、記念すべき時を共有できたことは嬉しいことである。
記念に手持ち写真を撮り、スカリに入れてあげた。

私同様、信念の砕けたmisfish-toy氏はバニーを投げ始めた。
相変わらず周囲に魚信は無く、静寂である。

そしてまたもや五平氏がヒット!その後すぐにmisfish-toy氏もヒット。
回遊がうまく当たると「入れ食いか?」と思われることもある状態。

凄いぞバニー。目立ってるぞバニー。カッコいい!

豪勢な水しぶきを上げて水面を滑走してくるバニーの後ろから水面ギリギリを弓角が回転して追ってくる。魚が食ってくる速度をさぐりながら調整し引いてくるとトップウォーターゲームのように水面直下からバゴッとアタックしてくるところが見える。そしてアタリに対してなかなかフッキングしてくれない。このもどかしさは面白い。そしてフッキングしたあとも結構バラシの憂き目に合う。バニーの重さが支点になってしまい、右へ左への突っ走りの際に外れてしまうこともある。

面白い。
沈黙は破られた  【misfish-toy baomi 五平】_d0078105_14195670.jpg



一瞬の狂乱を目にした周囲の釣り人たちの中にもバニーを投げる人が出てきた。
五平氏がエポックメイキングな立場になっているのである。

私もカツオにサビキをお祭りさせられ、バニーに切り替えた。
3人並んでバニーを投げていると、それぞれめいめいのタイミングで投げているのだが、ふとしたタイミングで3人同時に投げる時がある。ちょうど交差点を曲がるクルマの列のウィンカーが数台すべて同時に明滅しているように一糸乱れぬ瞬間があるのである。
同時にシュバーッとなげてボチャンと落ち、一呼吸おいてから3機ならんで水しぶきを上げてこちらに向かってくる。
なんだか戦隊ヒーローものの登場シーンのようである。
これはやはり少し恥ずかしい。

沈黙は破られた  【misfish-toy baomi 五平】_d0078105_14205640.jpg

↑小さいボディーからの鬼スプラッシュ!

そこそこ楽しんだあとにバニーにもパッタリとアタリは無くなった。
もういいか?という雰囲気のなか最後に私のバニーにショゴがかかり。だれもショゴなんて釣っていないのに意外だねぇ。なんて言いながらおのおの初心の仕掛けを変えた。

バニーをさんざん投げた後、日頃重く感じるジグヘッドもまるでフライロッドを振り回しているように頼りなく感じる。

既に時間は昼に近づき終了時間が迫ってきた。青物に満足し、今度は底モノ、とポイントを変えるために移動。
残念ながらmisfish-toy氏はタイムアップで帰路に着き、五平氏と私は残ってキャストを続けた。

相変わらずこちらは難しい。反応もあるのか無いのか、アタリなのか底の異物を小突いているのか。
疑わしい気持ちで竿を振り続ける。

さすがにもうお仕舞いかな~と思い、次が最後のキャスティング。と思い始めて3回目の時。
クククとルアーをもっていく感覚。
静かに合わせると必死の思いが続いて伝わってくる。
ヨオシヨオシ!と一気に巻き上げるが手ごたえは弱い。

バレルナ バレルナと祈りつつ水面に顔だしたマゴチに感動!
35cmと小さいマゴチだが至極感動。夏のマゴチは照りゴチとよばれ、非常に美味。という雑誌か何かで読んだ文を一人つぶやき。嬉しさを噛みしめた。

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今日は初ソーダに初マゴチ。
ボウズという沈黙が破られた!

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↑文句なし!うまかったです。
カツオは刺身も旨かったけど、ガーリックステーキにしたら最高だった。飯何杯でもイケル!
by team-gyoshin | 2007-08-31 02:13 |